三重県森づくり安全技術・技能地域推進協議会

装備,使用器材


 刃物は適切な物を選び、日常の手入れが重要です。自分の体格や体力に合ったものを選ぶことで、仕事に無理なく怪我を防ぐことができます。また、刃を砥ぐなど日常の手入れをすると、切れ味がよくなり作業能率が上がり疲れないだけでなく、無理をしないので怪我の予防にもつながります。

 機械類も使用前後とも、機能、燃料、その他部品の損傷状態を確認する習慣をつけましょう。仕事を始めてすぐに機械が不調になり、作業が中断されるような非効率的な作業を防ぐことができますし、より安全に作業を進められるようになります。


ノコギリ


 枝落としはナタでおこなうことが一般的ですが、ノコギリを使用することがあります。ノコギリを使用することで切り口が、ナタで切り落とすよりきれいな切り口になり、切り落とした跡を、きれいに包み込むように木の成分が被います。枝の切り落としに使用するノコギリは小さな携帯用のノコギリです。

ナタ・小斧(よき)・ちゅうのう・斧


 小口径の雑木(杉、ヒノキなどのように建築材、加工品として売れない種類の草木をこう呼びます)を刈り払ったり、立木や伐倒木の枝の付け根から切り落とす時、使用します。金属部分の重さを利用して振るので、重い方が楽に切ることができます。ただし、思いと持ち運びに不便だったり、振るために力を入れてナタ、小斧、斧を振り上げなくてはならなりません。自分の体格や体力にあったものを選びましょう。


 地拵しや下草刈りなどで草や笹などを刈ったり、地表に落ちている小径木や枝をかき集める時に使用します。草を刈るより小枝を集める方が多い地拵し時に刃を砥ぎすぎると、刃こぼれします。下草刈り時、草刈りと同時に石などに刃を当てるので、一日に何回か刃を砥ぐ必要があります。


苗の植え付け、桁材の伐採時に使用します。苗を植える穴を掘る。桁材を切る時、バチと呼ばれる根を残す必要があるので、切りやすいよう根の周辺を掘り、更にチェーンソー操作ができる空間をクワで掘り広げます。


 切り出した木を一般材なら3mまたは4m、長材なら9〜12m,バタと呼ばれる杭や板を作る材なら2mに切る時、長さを確認するためいちいち巻き尺をで計るのは面倒である。そこで通常2.01mまたは4m2cmに切った竹または木でつくった尺を木に当てることで定規の代用、尺として使用する。

 3m材は若干長さが短くとも商品になりますが、4m材は1cmでも短いと商品にならないので、チェーンソーの刃で長さが短くなっても4m以上の長さが出るよう1cm〜2cmの余裕を与え、尺の印をつけてるようにする。

ロープ


 急斜面で伐採した材が倒れた後下に滑らないよう、伐採する木と伐採予定の上の木を結ぶ。伐採し倒れかかった木が隣の木に寄り掛かった時、伐採木の元付近に巻き付け棒を入れてこじることにより、伐採木を回して寄り掛かった枝を外す。または、伐採木の幹のなるべく上にロープをかけ下に引くことで、かかった木を倒す。集材機、タワーヤーダー周辺のワイヤー取り回し用の滑車その他調整時に使用するなど、多方面の用途に使える。

 

チェーンソー


 伐採、伐採木の枝落としである枝払い、伐採木を一定間隔に切る玉切り、大き目の草を刈る下草刈りから簡単な加工まで、林業で使用する代表的な機械です。ノコギリの刃にあたるバーの長さにより、エンジンの大きさが異なります。大きなチェーンソーは大きく重く小さい方は軽く小さいので取り回しが楽にできています。できれば木の伐採や枝払いなど使用目的により複数のチェーンソーを使い分けると、余分な労力を使わなくてすみます。

 使用する前に、林業研修所、労働監督局主催の講習会に参加して基本的な使用方法と注意事項を習った方がよいでしょう。

刈払機


下草刈りで使用する携帯用草刈り機です。機械本体と回転する刃の部分とこの二つを結ぶシャフトの部分に分かれています。シャフトが曲げることのできる型とシャフトが固定された棒の型の二種類の形に分かれます。その他、先端につける刃もビニールの紐や3枚から多数の歯を使用した刃まで多種あります。林業では細い雑草木でも切ることができる歯の多い刃を使用します。

プロセッサ


 林業就業人口減少時の対策の一つに機械化による林業作業があります。機械化を進めることでより安全でより効率的な作業をめざし、林業従事者を増やそうとしています。

 プロセッサは枝払いと、4m,3m毎に切る玉切りの作業を一台でこなします。パワーショベルと同じクローラー本体とアームにショベルでなく、枝払いや玉切りをするプロセッサ本体をつけているのが特徴です。クローラーでなく低圧タイヤで移動する型もあります。

 大きな木を処理するためには大きなプロセッサ部分が必要なのでクローラー本体が大きくなります。最近では処理する木の大きさにあわせて大きいのから小さなプロセッサーまで種類が増えてきました。

 枝払いなど効率の良い作業ができるので、払った枝を積み上げる場所、プロセッサが作業する場所、玉切った材を積み上げる場所を考えてから仕事を始める必要があります。

ハーベスター


枝払いと玉切りの作業に伐採機能を付加したのがハーベスターです。一台の機械で複数の仕事ができるので、機械の数が少なくてもより多くの仕事に対応できます。

傾斜地に入れないので伐採機能を発揮できる場所が限られることが普及のネックになってます。また機構がより複雑なので価格が高いこともプロセッサに比べ稼動台数が少ない理由のようです。

グラップル


 プロセッサやハーベスターと同じ車両を使用し、アーム先端を木材をつかみやすいよう上下からそれぞれ2〜3本の爪でできたグラップルを装備している車両系の機械です。グラップルで何本かまとめて材を挟み移動させることができます。タイヤで移動する車両もありますが、地盤が緩い場所が多い日本ではクローラー式の車両が全盛です。

木材を移動させるのに使用します。ただし、移動させるだけの目的ならば林内作業車の方が小型軽量、低価格です。グラップルをつけることで、プロセッサやハーベスターなど高価格車両の用途を増やすことで、採算をとりやすくしています。

バックホー(パワーショベル)




本来一般工事で地面を掘削したり、斜面をならすのに使用する機械車両のことで土などを運転席とは反対側にすくう機構の機械をパワーショベルといい、運転席側にすくう機械をバックフォーといいます。

山の作業では林道などの道を造ったり、作業場を開いたりするのに使います。ハーベスタ、グラップル、プロセッサなどの森林作業用車両は建設機械に比べ需要が少ないので工事用車両のバックフォーの車両部分を利用し、アーム先端だけを森林作業用のアタッチメントに替えています。

集材機


 切った木の周囲にトラックに載せることのできる道路がない場合、トラックに乗せやすいよう、木を山から道路脇まで運び出す時に使用する機械。ロープウェイのように伐採現場と土場を結ぶ太い鉄線ワイヤーを張ります。この太いワイヤーに木を吊り上げるキャリーを乗せます。キャリーには木を巻き上げるロープを巻くドラムがついていて、索道機械の運転手はの現場にいる作業員の合図で木をかけたフックを巻き上げたり、降ろしたり。さらに巻き上げた木をさげ、キャリーを土場まで移動させます。

 このキャリーとキャリーを遠隔操縦する装置、エンジン一式を広い意味で集材機と呼んでいます。または、エンジンと遠隔操作する操縦装置だけを集材機と呼ぶこともあります。

 集材機操作員と木にワイヤーを取り付ける人が離れて作業するため、細かい事項の連絡は視界がよければ手信号、視界が悪ければ電話と呼ばれる有線のスピーカーとマイクロフォンを使用した集材機用インターフォンまたはトランシーバーなどの通信機器を使用しなくてはなりません。

ラジオキャリー(スカイキャリー)


用途は集材機と全く同じです。ワイヤー巻きつけのドラムのついたキャリーに集材機のエンジンをつけて、無線で遠隔操作できるようにしたのがラジオキャリーと呼ばれる機械です。

ラジオキャリーはエンジンがキャリーに付いているので、集材機と異なり使用エンジンを変えることで、運ぶ材の量や距離を変えることができません。

またキャリー自体でメインラインとワイヤーをしっかりつかんでいるのでワイヤーが外れるトラブルは集材機使用のいキャリーに比べ少ないのが特徴です。

 集材機では機械の操縦者と木にワイヤーをかける人は遠隔地に離れているため、木をワイヤーにかける人が細かい動きの指示をすめために、トランシーバーや電話などを使用しなくてはなりません。それに引き換えラジオキャリーはワイヤーをかける者それぞれが無線操縦装置を持っているので、細かい操作を自分でできるため、キャリーや木を吊るワイヤー調整のためトランシーバーや電話などの装置が必要になりません。

ワイヤーに重いエンジンと燃料を積むので、重くなり、エンジンのサイズが限定されるので、一度に運べる材木の重量が集材機に比べ少なくなり、機械をつるす鉄線ワイヤーも太い丈夫なものが必要になります。

タワーヤーダー


集材機やラジオキャリーとほぼ同じ用途に使用しますが、間伐材などの小さな木の搬出を集材機などに比べ、より短距離移動させるのに使います。

集材機やラジオキャリーが木を集める範囲に主線と呼ばれる太いロープを張り、木を巻き上げたり、吊り下げるキャリーを動かすテイル線を張るのに対し、タワーヤーダーは比較的細い鉄線を木を移動させる範囲に張ります。タワーヤーダーは線を張る機械側の柱を自動車など移動できる台車に内蔵しているので、集材機のように機械側に線を張る柱を探す必要がありません。

 設営や撤去は集材機、ラジオキャリーに比べ短時間に作業を完了することができます。ただし、集材機などのように太線を使用しないので、運べる木の大きさに制限があり、作業できる範囲も線の届く100m前後までに限定されます。このようにタワーヤーダーは間伐などによる小径木搬出時、適当な場所を移動しながら材を集めるのに適しています。

トラック


 林業で切り出した材の運搬に使用するトラックは、荷揚げ装置のない山間部で材を積まなくてはならないので、材をつかむ油圧式クレーンを装備しています。このクレーンの重量が約2トンほどあるので10トン積みトラックは8トン弱の材を積むことができます。

 94年5月から道路交通法が変更され、重量制限オーバーに対する処罰が厳しくなったのでそれまでに比べ、積む材木の量が減っています。また、重量削減のため山で伐採後木を山で乾燥させる自然乾燥も再び注目されてますが、作業後の現金化に時間がかかるのでほとんど実行されてません。







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